教員の原点

なりたいものがわからない高校時代

大学受験を見据えて勉強しているのに、行きたい大学も学部もよくわからなかった。

大学に行ってから考えればいい。そんな人多いよ。

行きたい大学は見つけたけれど、結果、別の大学へ進学。

暗黒の大学時代

必要な科目を履修して、単位を獲得する日々。興味があるような内容な授業。

大学合格通知は嬉しくて、ホッとして、涙もほろりとしたはずだったのに。

よくわからないまま、とりあえずこなしていく授業。

そして研究室配属。楽しくなかった。しんどかった。

友達が別の研究室で楽しく学んでいる姿が辛かった。

時間はいつもの通り流れ、気づけば3回生。就活。

やりたいこと、行きたい会社。そもそも大学で何をしてきたのかわからなかった。

私、3年間で何も成長していない。手にしたものが無い。

どうしてもやり残したことがあることに気づいた。海外での学び。

行くなら今しかないと思って、両親にお願いした。どうしても行きたいと。

そして留学先でいろいろな国の人たちと関わる中で一つ気づいたこと。

「私って教育だけは続けていたんだ。しかも好きなんだな。」

大学生になってからずっと、続けていたバイトが塾の講師。

初日は帰って鼻血が出るほど緊張したし、辞めたいって思ったこともあったけれど、

先生として生徒に関わって成長する姿に嬉しくなる、もっとこうしてあげたい。

そんな思いで続けていた。

教育に関わりたい

教育といっても、幅広い。

最初に思ったのはやはり塾の講師。

でもずっと講師をしていて、少し足りないと思う部分が私にはあった。

塾の講師は、生徒の学習のみに関わるということ。

つまり生徒の生活面などの学習以外の面での関わりはできない。

言葉遣い、生活リズム、他にも塾の生徒の気になるところはあっても深くは関わらない。

行事などもない、学習面からのみ成長を見守る。それがもどかしいと思った。

小学校か、中高か

最後まで悩んだが、私が先生になりたいと思える姿は小学校だった。

まず、小中高で振り返った時、私が好きな先生は小学校だった。

小学生の頃は先生になりたいとも思っていた。

中高で勉強ばかり、先生になりたいなんて思わなくなっていた。

また、働き方の点で中高の部活はずっと引っかかっていた。

休み返上でする部活。私には無理だと思った。

一番の決め手は、先生と子供の関わりの密度。

中高は生徒との距離感はさほど近くない。ある程度本人に委ねる。

小学校でも本人の意思はもちろん尊重する。

小学生に対する先生の存在は大きい。学習面でもそうだが、生活面も大きい。

塾講師をしていて、小学生の生活面の指導は学校や家庭でずいぶん違うと実感していた。

小学生の時から、日記を書く習慣をつけていれば、敬語を意識させていれば、

そんなことを思うことがなん度もあった。

また、一つの教科だけではなく、いろいろな勉強を教えるのが塾では楽しく、

教科が変わるから気分も変わるところがあった。

小学校の先生になろう

結果、小学校に決めた。

学費をアルバイト代を貯めて払うため、通信制にして自分で時間を作れるようにした。

簡単な勉強は最短ですることで、空いた時間もアルバイトに当てた。

もちろん遊ぶこともしたけれど。

4週間の実習では、6年生のクラスで行わせてもらった。

子供たちとの出会いは、今でもよく覚えている。

4週間はやることも考えることも本当にたくさんあって、「早く終わって。。。」

って正直思ったこともある。

研究授業も緊張したし、大変だった。

でも最後にお別れ会をしてくれたのは、本当に嬉しかった。

クラスにいることが多かったのに、あの子たちは一体いつの間にバレずに準備してたんだろう?

写真もお手紙もまだ大切に保管している。ありがとね。

あの子たちももう高校生になるだろうか。大学生か。

自分が関わった子供たちの成長は本当に早い。

そういった子供たちの成長を感じ、近くで関われるのは先生の醍醐味。

素敵な職業だと思う。

実は就活もした

留学から帰ってきた時、教員への思いを高めながらも、就活もした。

特にやりたい仕事、行きたい会社があったわけではないけれど。

説明会も聞いた。この会社は安定してそうだな。

そんなことも思ったりしたけれど、一つの結論が私の中で出た。

「私じゃなくても、その仕事いいよね」

私という人でなくても、意思疎通ができて、社風があっていて、仕事がこなせる。

文系理系、学部不問、つまり私という人物である必要がないよね、と。

一方で先生はそうではない、先生という肩書きは同じでも、

子供たちにとっては自分の担任の先生の代わりはいない。担任は担任。

授業や事務的なことはもちろん誰でもできるけれど、

その子にとっての〇〇先生は、その人しかいないのだ。

これに気づいた時、先生として塾でも必要としてもらえて嬉しかった原点の一つだとわかった。

先生という仕事

子供の成長を支える、関わる大切な仕事。

人との関わりなしに、人は成長しない。できない。

でもどんな人に出会って、どのように関わるかで全く違うだろう。

学校現場ではよく聞く言葉がある。

「医療は人の命を預かる現場、学校は人の人生を預かる現場」

学校の役割は日に日に大きくなって先生たちは、やることばかりが増えて、

なのに世間の目は厳しく助けも少ない。

でも、先生という仕事そのものはとても素敵だと思う。

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